[本文はここからです]

工業標準化について

標準化(Standardization)とは、「自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化する事柄を少数化、単純化、秩序化すること」ということ ができます。 また、標準(=規格:Standards)は、標準化によって制定される「取決め」と定義できます。標準には、強制的なものと任意のものがありますが、一般的には任意のものを「標準(=規格)」と呼んでいます。
したがって、工業標準化とは、工業分野における標準化のことであり、我が国では, 国が定める工業標準としてとして日本工業規格(JIS)が制定されています。

工業標準化の意義は、具体的には、自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化してしまう「もの」や「事柄」について、経済・社会活動の利便性の確保(互換性の確保等)、生産の効率化(品種削減を通じての量産化等)、公正性を確保(消費者の利益の確保、取引の単純化等)、技術進歩の促進(新しい知識の創造や新技術の開発・普及の支援等)、安全や健康の保持、環境の保全等のそれぞれの観点から、技術文書として国レベルの「規格」を制定し、これを全国的に「統一」又は「単純化」することであると言えます。

これら工業標準化の意義を「規格」の機能(働き,作用)に着目して整理すれば、次のように説明することができます。

(1)経済活動に資する機能

1. 製品の適切な品質の設定

工業標準化は、製品の品質に関し一定の水準を与えることができる。この場合、製品の品質に係る工業標準化は企業ニーズに重点を置いたものとするのではなく、使用者、消費者ニーズ及び公共の利益等社会ニーズについても十分に配慮した上で品質を規定する必要がある。更に、安全性や環境保護の分野では強制法規の技術基準によって規制されている場合が多く、社会ニーズへの対応の観点から、工業標準化は、これらの技術基準との技術的な連携に留意する必要がある。

2. 製品情報の提供

工業標準化は、商取引において売り手と買い手の双方の便益に資する形で、製品の寸法や性能・成分・強度といった品質等の製品の選択に必要不可欠な情報を提供し、取引上のコスト削減に資することができる。

3. 技術の普及

製品の性能や試験方法等について行われる工業標準化は、その技術について広く産業活動等への利用/普及を促進し、その結果、類似の技術開発の無用の重複を避け、生産性を向上し、更なる技術向上に労力を向ける等技術の発展に資することができる。

4. 生産効率の向上

工業標準化により、製品の種類、分類、性能が「単純化」され、生産活動における量産化が可能となり、スケールメリットによる価格低減が図られ、生産効率の向上に資することができる。なお、近年の生産技術の高度化は、消費者ニーズ等から製品の「多様性」を許容する方向に向かっており、この場合、工業標準化は、製品の「多様性」も許容しつつ、必要な「統一」や「単純化」を行うといった技術的な調整を行い柔軟性のある一定のルールを構築するツールとして活用することができる。

5. 競争環境の整備

製品の性能等の試験方法及び評価方法の工業標準化は、製品間の性能等の客観的な比較が可能となり、更に、技術の基礎的、共通的事項を統一又は単純化することにより、真に技術的な発展が期待される技術要素について競争を促進することができる。

6. 互換性・インターフェースの整合性の確保

部品相互の組み立て、部品の交換に際し、互換性が確保されていないことによる組み立てや交換の支障は非常に不便である。工業標準化は、このようなボルト及びナット間や、蛍光ランプ及び照明機器間の互換性を規定し、部品等の容易な交換を可能とすることができる。更に、近年では、コンピュータシステム間のインタフェースの標準化、情報、FA(Factory Automation)、電子商取引等の分野での互換性、相互適用性等インターフェースの整合性の確保を工業標準化によって実施することが重要となっている。

(2)社会的目標の達成手段としての機能

工業標準化は、"産業競争力の強化"、"環境・安全・権利の保護"、"省エネルギー・省資源の推進"等の政策目標の遂行手段として、適切な場合、強制法規の技術基準による規制という手段を講じることなく、主体的に企業、消費者の行動を促進することができる。

(3)相互理解を促進する行動ルールとしての機能

工業標準化は、関係者(製造業者、流通業者、使用者、消費者、研究者等)間で技術的要求事項、技術データ等を相互に伝達(コミュニケート)する手段として、用語、記号、計量単位、試験評価方法、生産方法、品質、安全度、仕様書のフォーマット表示等について技術基盤を統一することができる。更に、近年は国際標準化を視野に入れた工業標準化として、試験評価方法や消費財に関する仕様書、マーク表示、各種マネジメントシステムの指針等が重要となっている。

(4)貿易促進としての機能

貿易がグローバル化し貿易量も増大している一方で、各国の国家規格、強制法規の技術基準がそれぞれ異なっている場合はこれらの国家規格や技術基準の相違が貿易を阻害してしまう可能性がある。各国の強制法規の技術基準についてはそれぞれ整合させることは困難であるが、このような場合、工業標準化が自由貿易の維持・発展を図る目的として活用される。すなわち、各国の国家規格等が、国際標準化機関(ISO/IEC)が国際的なコンセンサスに基づいて制定する国際規格と整合化を図り、更に、このような国家規格を強制法規の技術基準が引用/採用することで達成される。

[本文はここまでです。]

▲このページの先頭へ