[ 本文はここからです]

TBT協定について

TBT協定について

1.WTO協定の概要

WTO(世界貿易機構: World Trade Organization)は、多角的貿易協定等の実施及び運用を円滑にする国際機関として1995年1月に発足しました。日本は、1994年12月の国会での承認を得てWTO発足と同時に加盟(WTO協定へ批准)しています。

WTO協定の構成



2.TBT協定の基本的考え方と意義

国際貿易において、工業品等の規格や、その規格の適合性を評価する手続が、不必要な障害をもたらすことのないようにすることが基本理念のひとつです。
TBT協定は、強制規格、任意規格及び適合性評価手続の制定における透明性を確保し、また、国際規格や国際的ガイドを基礎とすることによって国際的な調和を進めることにより、その結果として、国際貿易の技術的障害としての基準・認証制度を可能な限り低減することが目的です。


3.TBT協定の概要

(1)TBT協定
TBT協定とは、1979年4月に国際協定として合意されたGATTスタンダード・コードが1994年5月にTBT協定として改訂合意され、1995年1月にWTO協定に包含されたものです。TBT協定はWTO設立協定と一括受託の対象の協定となっており、WTO加盟国全部に適用されています。
TBT協定は、工業品等の各国の規格及び規格の適合性評価手続が国際貿易に不必要な障害をもたらすことのないよう、国際規格を基礎とした規格制定の原則、規格制定の透明性の確保等を規定。
(2)基本的構造
加盟国に対して、強制規格、任意規格及び適合性評価手続について、内国民待遇・最恵国待遇の確保、国際規格や国際的ガイドを基礎として制定すること及び必要な通報・通知・公告手続を行い、他の加盟国等の意見を受け付けること等を義務づけています。
また、強制規格及び適合性評価手続の結果については、他国のものが自国のものと異なる場合においても、それらが同等であると認められる場合には、できるだけ受け入れることについて規定しています。
他方、発展途上国については、技術援助、例外措置を広範に許容しています。


4.強制規格(Technical Regulation)に関する規定

輸入産品について内国民待遇及び最恵国待遇を確保すべきこと(2.1条)、正当な目的(国家安全保障、詐欺的行為の防止、人の健康・安全の保護等)のため必要以上に貿易制限的ではないこと(2.2条)、強制規格が必要な場合は原則として国際規格を基礎として用いること(2.4条)等を義務づけています。
また、他国の強制規格が自国の強制規格と異なる場合であっても、他国の強制規格を同等なものとして受け入れることに積極的な考慮を払う旨規定しています(2.7条)。
さらに、強制規格案が国際規格に適合していない場合において、強制規格案が他の加盟国の貿易に著しい影響を及ぼすおそれがあるときには、WTO事務局を通じて他の加盟国への事前の通報等を義務づけています(2.9条・2.12条)。


5.任意規格(Standard)に関する規定

加盟国は、自らの中央政府機関が附属書3の適正実施規準を受け入れ、遵守することを確保するとともに、非政府標準化機関についてもその受入れ及び遵守を確保するために利用しうる妥当な措置をとる旨規定しています(4.1条)。

(1)適正実施規準
適正実施規準(CGP: Code of Good Practice)は、TBT協定附属書3に規定されており、標準化機関(政府、非政府を問わないWTO加盟国の全標準化機関)が任意規格を立案、制定及び適用する場合に満たすべき事項を規定しています。
  • 貿易の障害となるような任意規格の制定を回避(D項、E項等)
  • 国際規格を基礎とした任意規格の制定(F項)
  • 国際標準化活動への積極的参加(G項)
  • 任意規格の制定に関する作業計画を少なくとも6か月に1回公表
       また、ISO/IEC情報センターに作業計画の存在を通報(J項)
  • 任意規格の制定前には、少なくとも60日の意見受付期間を設置(L項)
(2)JISにおける実施例
日本産業標準調査会(JISC)事務局:産業技術環境局 基準認証ユニットは、JISCホームページ等を利用して、JIS作成に関しての透明性を確保しています。

6.適合性評価手続(Conformity Assessment Proceduresに関する規定

加盟国が行う強制規格及び任意規格に対する適合性評価手続について、内国民待遇及び最恵国待遇の確保(5.1.1条)、国際貿易に対する不必要な障害をもたらすことのないこと(5.1.2条)を規定するとともに、国際標準化機関の定める指針又は勧告を基礎として用いることを義務づけています(5.4条)。
また、適合性評価手続案が国際指針等に適合していない場合において、WTO事務局への事前の通報等を義務づけています(5.6条)。


7.3年見直し

TBT協定15.4条の規定に基づき、3年ごとにその実施状況を踏まえた見直し作業を行うこととなっています。これまで、1997(平成9)年から3年ごとに3年見直しを実施しました。 特に、第2回の3年見直しでは、 国際規格作成に関する諸原則(透明性、開放性、公平性、適合性、一貫性、途上国への配慮等 )についての委員会決定をしました。

3年見直し関係資料は3年見直し資料集に掲載しています。