ISO 14001について
ISO 14001とは、組織が環境マネジメントシステム(EMS: Environmental Management System)を確立し、文書化し、実施し、かつ、維持すること。また、その環境マネジメントシステムの有効性を継続的に改善するために要求される規格です。
ISO 14001改訂版の発行
ISO 14001改訂版が、2015年9月にISO 14001:2015として発行されました。
今回の改訂では、他のマネジメントシステム規格との整合性を取ることを容易にするために、ISOで規定されるマネジメントシステム規格に共通的に用いられる規格の構成を採用しています。これにより、組織が複数のマネジメントシステムを事業プロセスと一体的に運用することが容易となり、効率的かつ効果的なマネジメントを実施できるようになります。
ISO 14001改訂の主なポイント
- 戦略的な環境管理
-
組織の戦略的な事業計画策定において、環境管理の重要性が増していることから、環境マネジメントシステムの確立に当たっての、「組織の状況の理解」に関する事項が採用されました。組織の状況とは、例えば、利害関係者のニーズ及び期待、組織に影響を与える又は組織からの影響を受ける地方・地域・グローバル規模の環境状態に関連する課題、周囲の状況変化に関連する課題が上げられています。
- リーダーシップ
-
環境マネジメントシステムの成功を確実にするために、リーダーシップの役割をもつ人に対し、組織内の環境管理を促進することについてのコミットメントが求められています。
- 環境保護
- 組織に対する期待として、組織の状況に応じて害及び劣化から環境を保護するための事前対応的な取組みへのコミットメントが追加されました。今回の改訂では、”環境の保護”は定義されていませんが、環境の保護が、汚染の予防、持続可能な資源の利用、気候変動の緩和及び気候変動への適応、生物多様性及び生態系の保護等を含み得るという記載が追加されました。
- ライフサイクル思考
- 組織自らが管理及び影響を及ぼす範囲については、調達された物品・サービスに関連する環境側面の管理に加えて、製品の使用及び使用後の処理又は廃棄に関連する環境影響にまで強化されました。ただし、これはライフサイクル評価を行うことを要求するものではありません。
- コミュニケーション
- 外部及び内部コミュニケーションの双方に、コミュニケーション戦略の策定が求められています。これには、矛盾がなく一貫し、信頼のおける情報についてのコミュニケーションに関する要求事項、及び、組織の管理下で働く人々が環境マネジメントシステムの改善提案を行う仕組みを確立することに関する要求事項が含まれています。
ISO 14001追補改正の発行
- 2024年2月、ISOは31の既存マネジメントシステム規格(MSS)に対し、気候変動への配慮を求めることを目的とした追補(Amendment: Climate action changes)を発行しました(ISO 14001:2015/Amd 1:2024)。
JIS Q14001:2015改正版について
JIS
Q14001は、これまでもISO 14001に一致している規格として制定・改正してきました。今回、ISO 14001:2015が改訂版として発行されたことに伴い、その一致規格であるJIS
Q14001:2015として改正いたしました。このJIS Q14001:2015は、これまで用いられてきたJIS
Q14001:2004からの改正となりますが、改正のポイントは、上述と同一の内容となります。
JIS Q14001追補改正の発行について
JIS Q14001追補1に関しての改正のポイントは上述と同一の内容になります。